くびとは
耳鼻咽喉科では、脳より下の頭部、くびより上の頸部で発症する病気も診療範囲になります。当院では、リンパ節や唾液腺といったくびの部分で起きる病気の診療も行います。主なくびの病気は下記の通りです。
頸部リンパ節炎
頸部にあるリンパ節が細菌感染などにより炎症を起こして腫れている状態を頸部リンパ節炎と言います。多くは口や咽喉の細菌感染による炎症です。細菌による感染では、まず歯や口、咽喉の痛みなどの症状がみられ、その後くびに痛みのある腫瘤が触れるほか、発熱を伴うこともあります。なお、悪性腫瘍による腫れでは痛みはほぼない状態で、リンパ節が硬くなって、しこりのようになります。治療は主に対症療法で消炎鎮痛剤などを用います。細菌性の炎症の場合は抗生剤を投与することになります。ちなみに、症状が強く出ている場合はステロイドを使用します。
唾石症
唾石と言われる石が唾液腺や導管の中に生じる病気です。唾石の大きさは、砂粒大のものから数センチあるものまで様々です。原因としては、唾液の性状の変化、唾液の停滞、導管の炎症といったことがあります。
症状としては、痛みを伴った顔の腫れが見受けられ、ほとんどは顎下腺にできることから、顎の下に腫れが現れます。ものを食べようとする、あるいは食べている最中は激しい痛みが起きますが、時間の経過と共に症状は消えていきます。
治療としては、小さな唾石であれば開口部から自然に流出されることもあります。ただし、痛みを繰り返したりする場合は、小手術となります。導管内に唾石がある際は、口の中で切開して唾石だけを摘出します。唾液腺の中にできたものは、腺体ごと唾石を摘出します。
唾液腺炎
唾液腺炎は、唾液腺に炎症が生じた状態ですが、その原因は様々です。ただし、大部分はウイルスや細菌の感染が原因です。なお、ウイルス感染で代表的なものが流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)です。ちなみに、唾液腺炎を発症すると、粘膜保護作用、消化作用、抗菌作用などの本来唾液が果たす機能が低下し、症状としては炎症がある部分の痛みと腫れ、口の中の乾燥、寒気、発熱、唾液の減少などが現れます。
治療としては、細菌による感染症の場合は抗菌薬を用い、ウイルス性のものでは解熱薬を投与し、安静にします。
唾液腺腫瘍
唾液腺に発生する腫瘍で、ほとんどは耳下腺で起きますが、小唾液腺や顎下腺などにもみられます。ちなみに、小唾液腺や舌下腺にできた腫瘍は口腔内で症状がみられます。また、唾液腺腫瘍は、大部分が良性ですが、舌下腺に発生した場合は悪性の腫瘍であることが多いです。
主な症状としては、頬や耳、顎付近や口の中に、しこりができます。そして、食べ物の飲み込みや、口を大きく開けにくくなります。そのうえ、顔の痛み、顔の感覚や顔の筋肉の麻痺(顔面神経麻痺)などが現れることもあります。
治療を行う際は、手術による腫瘍の摘出となります。場合によっては、化学療法や放射線治療を併用することもあります。